8.器具への結線部分

ねじ締め端子の器具への結線部分

電気工事士 技能試験において“ねじ締め端子”を有する器具は、端子台、配線用遮断器、ランプレセプタクル、及び露出形コンセントが該当します。これらの器具への結線部分に関する欠陥の基準は、以下の通りです。

8-1.心線をねじで締め付けていないもの

イ.単線での結線にあっては、電線を引っ張って外れるもの

自動点滅器やタイムスイッチの代用となる端子台に単線を結線するときは、端子に心線を差し込んで端子ねじを締めます。ねじ締めが不十分ですと、技能試験の判定員が電線を引っ張っただけで外れてしまう場合があります。反対に、ねじを強く締めすぎるとネジ部が破損するおそれがありますので、締めすぎにはご注意ください。端子台に接続した電線を引っ張って外れると欠陥適切な施工では端子台に接続した電線は外れない

ロ.より線での結線にあっては、作品を持ち上げる程度で外れるもの

第一種電気工事士 技能試験では、CVV(制御用ビニル絶縁ビニルシースケーブル)やIV(600Vビニル絶縁電線)などの"より線"が用いられる試験問題があります。これらの"より線"はVCB補助接点や電磁開閉器の代用として用いられる端子台の端子にまっすぐ差し込み、適正なトルクで締め付けてください。締め付けが不十分ですと、少しの力が加わっただけでより線が外れる場合があります。端子台に接続したより線が抜けると欠陥端子台に接続したより線を引っ張っても抜けない

ハ.巻き付けによる結線にあっては、心線をねじで締め付けていないもの

ランプレセプタクルや露出形コンセントへ結線する際、ねじに心線を巻き付けてはいるが、ねじを締め付けていない場合が該当します。締め付けが不十分で、心線がぐらぐらする場合も欠陥となります。ランプレセプタクルの受金ねじの締め忘れランプレセプタクルの受金ねじが適切に締められている

8-2.より線の素線の一部が端子に挿入されていないもの

より線は乱暴に扱うと細い素線がバラバラになり、配線がしづらくなります。施工時はより線の素線の一部が端子の座金からはみ出していないことを確認してから、しっかりと端子ねじを締め付けてください。端子の座金からより線の一部がはみ出している端子の座金により線の素線が全て挿入されている

8-3.結線部分の絶縁被覆をむき過ぎたもの

イ.端子台の高圧側の結線にあっては,端子台の端から心線が20mm以上露出したもの

第一種電気工事士 技能試験においては、変圧器(端子台)の一次側に高圧絶縁電線(KIP)が用いられます。高圧絶縁電線の絶縁被覆を剥ぎ過ぎて心線が20mm以上露出している場合は欠陥です。高圧絶縁電線の心線が20mm以上露出端子台への高圧絶縁電線の正しい接続例

ロ.端子台の低圧側の結線にあっては、端子台の端から心線が5mm以上露出したもの

変圧器(端子台)の二次次側にはビニル絶縁ビニルシースケーブル(VVF、VVR)や接地用の絶縁電線(IV)5.5mm2が用いられますが、これらの電線を剥ぎ過ぎて心線が5mm以上露出している場合は欠陥です。低圧側電線の心線が5mm以上露出端子台への低圧側電線の正しい接続例

ハ.配線用遮断器又は押しボタンスイッチ等の結線にあっては、器具の端から心線が5mm以上露出したもの

上記の器具にはストリップゲージがありませんので、心線の長さ 約1cmを基準に電線の絶縁被覆を剥ぎ取ってください。器具に心線を差し込み、5mm以上露出している場合は余分な心線を切り落としてから結線してください。配線用遮断器の端から心線が露出している欠陥事例配線用遮断器への適切な接続事例

ニ.ランプレセプタクル又は露出形コンセントの結線にあっては、ねじの端から心線が5mm以上露出したもの

電線の絶縁被覆を剥きすぎた状態で心線の"のの字"曲げをすると、絶縁被覆と"のの字"間の心線の長さが長くなります。この状態で上記器具と電線をねじ止めすると心線が5mm以上露出する原因となりますので、面倒でも当該部分を切り落とし、最初から"のの字"曲げをしてください。ランプレセプタクルへの結線で心線が5mm以上露出ランプレセプタクルへの結線における適切な施工事例

8-4.絶縁被覆を締め付けたもの

ねじ締め端子を有する器具への結線で、座金が絶縁被覆を挟み込んでいる場合が該当します。心線の長さが短いと絶縁被覆を挟み込みやすくなります。だからといって心線が長すぎる場合も、はみだしの原因となりますのでご注意ください。受金ねじが絶縁被覆を締め付けている受金ねじが心線を締め付けている

8-5.ランプレセプタクル又は露出形コンセントへの結線で、ケーブルを台座のケーブル引込口を通さずに結線したもの

上記器具への接続の際、ケーブルを台座の上から結線するとカバーを閉めることができません。カバーが閉まらないと充電部がむき出しとなりますので、必ず台座の下のケーブル引込口を通してから結線してください。台座のケーブル引込口を通さずに結線している台座のケーブル引込口を通して結線する

8-6.ランプレセプタクル又は露出形コンセントへの結線で、ケーブル外装が台座の中に入っていないもの

上記器具を真横から見て、ケーブル外装(シース)の先端が台座の中に入っていれば欠陥とはなりません。ケーブル外装が露出形コンセントの台座に中に入っていない露出形コンセントの台座の中にケーブル外装が入っている

8-7.ランプレセプタクル又は露出形コンセント等の巻き付けによる結線部分の処理が適切でないもの

イ.心線の巻き付けが不足(3/4周以下)、又は重ね巻きしたもの

心線の巻き付けが不足していたり重ね巻きすると、心線と器具のねじとの接触面積が少なくなって、過大な電流が流れたときに発熱するおそれがあります。心線の巻き付けが不足しているときは心線を切り落として最初から"のの字"曲げを、重ね巻きとなる場合は心線の長さを調節してください。受金ねじへの心線の巻き付けが不足している受金ねじへの心線の巻き付けが適正である

ロ.心線を左巻きにしたもの

心線を左巻きにしてねじを締めると、ねじの外側に広がろうとする力が働いて心線が広がってしまいます。その状態で器具のカバーを閉めると、心線が障害となってカバーが閉まらなかったり、心線とねじの接触面積が少なくなって発熱する恐れがありますので欠陥となります。心線は左巻き(反時計回り)にしない心線は右巻き(時計回り)する

ハ.心線がねじの端から5mm以上はみ出したもの

"のの字"曲げをしたが、輪の形が大きすぎたり、楕円形になったりすると、心線がねじの端からはみ出しやすくなります。電気工事士 技能試験の基準では、心線がねじの端から5mm以上はみ出すと欠陥となります。ランプレセプタクルの受金ねじから心線が大きくはみ出しているランプレセプタクルの受金ねじに心線が適切に巻かれている

ニ.カバーが閉まらないもの

ランプレセプタクルや露出形コンセントのカバーは支給されませんが、絶縁被覆が長すぎてカバーが閉まらない場合は欠陥となります。ランプレセプタクルのカバーが閉まらないと欠陥適切な施工ではランプレセプタクルのカバーが閉まる

ねじなし端子の器具への結線部分

ねじなし端子を有する器具は、埋込連用タンブラスイッチ(片切、両切、3路、4路)、埋込連用コンセント、パイロットランプ、及び引掛シーリングローゼット等が該当します。これらの器具への結線部分に関する欠陥の基準は、以下の通りです

8-8.電線を引っ張って外れるもの

心線の長さが短かった場合、器具の電線穴に心線を深く挿入したとしても、しっかり心線をロックすることができず、電線を引っ張っただけで簡単に抜けてしまいます。器具のストリップゲージに合わせて心線の長さを調整し、的確に器具の電線穴に差し込んでください。引掛シーリングローゼットに挿入した電線が外れる引掛シーリングローゼットに挿入した電線を引っ張っても外れない

8-9.心線が差込口から2mm以上露出したもの

器具のストリップゲージより心線の長さが長かった場合、心線が差込口より露出する原因となります。欠陥の基準は、引掛シーリングローゼットにあっては1mm以上、それ以外の器具にあっては2mm以上露出した場合です。引掛シーリングローゼットの差込口から心線が露出している引掛シーリングローゼットの差込口に心線が正しく挿入されている

8-10.引掛シーリングローゼットへの結線で、絶縁被覆が台座の下端から5mm以上露出したもの

引掛シーリングローゼットを真横から見て、絶縁被覆が台座の下側から5mm以上露出しているものは欠陥です。ケーブルを曲げた場合でも絶縁被覆が5mm以上露出しているものは欠陥となります。引掛シーリングローゼットへの接続における欠陥事例引掛シーリングローゼットへの接続における適切な施工例