圧着ペンチ
電気工事士 技能試験に欠かすことのできない一番高価な工具が、リングスリーブ用の圧着ペンチです。
圧着ペンチにも数種類あり、ペンチの柄が黄色のものはリングスリーブ用、赤色のものはY型端子・丸型端子用です。購入する際は間違えないよう、必ずリングスリーブ用の黄色の柄のものを選んでください
圧着ペンチは、アウトレットボックスやジョイントボックスなどの接続箱内で、リングスリーブにより電線相互を接続するときに使われます。
リングスリーブ
リングスリーブには大、中、小(写真左側より)の3種類の大きさがあり、接続する電線の大きさと本数により、適切なサイズのリングスリーブを選定しなければなりません。(電気工事士 技能試験でよく使用されるのは、リングスリーブの小と中です。)
また、圧着ペンチでリングスリーブをかしめる時に使用するダイス(歯)にも決まりがあり、リングスリーブのサイズと電線の本数に応じてダイスを選定する必要があります。
もし、技能試験中にリングスリーブの圧着に失敗したり、ダイスのサイズを間違えて圧着しても慌てないでください。静かに手を上げると試験官が来てくれますので、「リングスリーブを下さい」と一言言えば追加支給されます。なお、リングスリーブの支給に関しては欠陥の対象にはなりません。
圧着ペンチのダイスの選定について
圧着ペンチでリングスリーブをかしめるときによくする失敗がダイスの選定ミスです。
圧着ペンチには 特小(1.6×2)、小、中、大 の4種類のダイスがあり、接続する電線の大きさと本数によりダイスを使い分けなければなりません。
以下の表がリングスリーブと圧着ペンチのダイスとの関係です。
リングスリーブ サイズ | 電線の太さ・本数 | 圧着ペンチ ダイス |
---|---|---|
小 | 1.6mm × 2本 | 特小(1.6×2) |
1.6mm × 3〜4本 | 小 | |
2.0mm × 2 | 小 | |
中 | 1.6mm × 5〜6本 | 中 |
2.0mm × 3〜4本 | 中 |
電線の大きさが1.6mmで、且つ電線の本数が2本の場合のみ圧着ペンチのダイスは特小(1.6×2)です。よく間違えやすいので注意して下さい。
圧着ペンチの使い方
リングスリーブによる電線の接続は、リングスリーブの大きさと圧着ペンチのダイス(圧着マーク)にさえ気を付ければ難しいことはありません。
では、実際にリングスリーブによる圧着接続をしてみましょう。ここでは、VVF1.6mm の電線を2本 リングスリーブで接続します。1.6mmの電線が2本なのでリングスリーブの「小」を、圧着ペンチのダイスは「特小」を使います。
VVFケーブルの外装を約10cm剥いで、心線の絶縁被覆を3〜5cm程度剥ぎます。電線の絶縁補膜の端を揃えてリングスリーブを”つば”がある方から心線の導体部分に差し込みます。
リングスリーブを差し込んだら、リングスリーブの中央に圧着ペンチのダイスを合わせます。
圧着ペンチの柄を握りリングスリーブを圧着します。圧着が不十分ですとペンチの柄は開きませんので、柄を一杯まで握り締めて下さい。
圧着ペンチの柄を一杯まで握り締めると、圧着ペンチのダイスが開きます。圧着マークがリングスリーブの中央付近に打点されていることを確認して下さい。
リングスリーブの先端で、突き出た心線をペンチで切断します。
もし圧着に失敗したなら、リングスリーブの直前で電線を切って絶縁被覆を剥ぎ、もう一度圧着接続してください。電気工事士 技能試験においては、リングスリーブの追加支給は欠陥の対象にはなりませんので、試験の係員の方にリングスリーブを貰って下さい。