電気工事士の有資格者でないと車の電気配線はできないの?

カーナビやETCなど、現在の車には電気製品がいっぱいです。これらの電気製品の車へ取り付けや電源の配線には電気工事士免状が必要なのでしょうか?

電気工事士法では、「電気工事」について以下のように定義しています。
「電気工事」とは、一般用電気工作物又は自家用電気工作物を設置し、又は変更する工事をいう。

また、電気工作物は電気事業法の第二条で以下のように定義されています。
電気工作物 発電、変電、送電若しくは配電又は電気の使用のために設置する機械、器具、ダム、水路、貯水池、電線路その他の工作物(船舶、車両又は航空機に設置されるものその他の政令で定めるものを除く。)をいう。

「船舶、車両又は航空機に設置されるものその他の政令で定めるもの」については電気事業法施行令で制定されており、以下のものが該当します。

車は道路運送車両法第二条第二項に規定する自動車ですので、電気工作物から除外されます。車はバッテリーで直流電圧12V、または24Vの電源を供給していますが、電圧30V未満ですので電気工作物からは除外されます。「電圧30V未満の電気的設備と電気的に接続」ともありますが、電圧30V以上の電気工作物に直接接続されたり、変圧器、・インバータ等によって接続されていませんので、これも該当しません。

燃費もよく環境にもいいハイブリッド車は、電気モーターの動力源として電圧200V以上の大きなバッテリーを積載していますが、これは電気工作物には該当しないのでしょうか?

そもそもハイブリッド車はもちろん、乗用車やトラックは自動車ですので、電圧の大きさに関わらず電気工作物からは除外されるのです。

したがって、車の配線工事等において電気工事士免状は必要ありません。但し、仕事でハイブリッド車の点検・整備等を行う場合は電気取扱い業務にかかる特別教育が必要となります。