電気の仕事を行う上で、さまざまな法律や規格などのルールが存在するのをご存じですか?
今回は、電気工事士の資格に関連するルール(法規制)についてご紹介します。

電気工事士に関する法律

電気工事士に関する法律には、電気工事士法をはじめ、電気事業法電気用品安全法電気工事業法などがあります。さらに、民間の技術基準である内線規定労働安全衛生法による特別教育など、電気工事士が守るべき・知っておくべき法律や法規、規則が複数存在します。

電気工事士法

電気工事士法は、昭和35年に通商産業省により定められた省令であり、第二種電気工事士や特種電気工事資格者など電気工事の作業に従事する者の資格や義務を定めた法律です。この法律により、電気工事士の工事範囲や免状、試験に関する内容が定められています。

電気事業法

電気事業法は、昭和39年に通商産業省により定められた省令であり、電気事業における基本法です。主に電気主任技術者やダム水路主任技術者、ボイラー・タービン主任技術者に係わる法律ですが、電気工事士に直接関係する自家用電気工作物や一般用電気工作物についての定義がされています。

電気用品安全法

昭和36年に制定された電気用品取締法は、平成13年に電気用品安全法へと改正されました。この法律は電気機械器具からの漏電出火や感電事故の発生を防止するためのもので、電気用品についての安全確保について定めた経済産業省発行の法律です。電気工事士や認定電気工事従事者は、特定電気用品(116品目)もしくは特定以外の電気用品(341品目)の表示がされた電気用品しか使用してはならないと定められています。

電気工事業法

電気工事業法の正式名称は電気工事業の業務の適正化に関する法律で、昭和45年に経済産業省により制定されました。この電気工事業法は、電気工事業を営む者の登録や業未規制について定めた法律で、電気工事業を営む法人または個人に対して適用され、電気工事登録業者の許認可や主任電気工事士などについて定められています。

※電気工事業者の登録等の手続きについては各都道府県の担当部署にお問い合わせください。

電気設備技術基準

電気設備技術基準の正式名称は電気設備に関する技術基準を定める省令で、昭和40年に通商産業省より制定されました。発電用設備を除く電気工作物の技術基準が定められており、電気工作物における技術基準の最低必要条件となっています。なお、電気工事士に直接関係があるのは、第3章の電気使用場所の施設です。

電技解釈

電技解釈の正式名称は電気設備の技術基準の解釈についてであり、電気設備技術基準(電気設備に関する技術基準を定める省令)に対応した具体的な判断基準となっています。

内線規定

内線規定とは、昭和43年に日本電気協会により制定された電気技術規定のことで民間の自主規格です。通商産業省(現 経済産業省)により定められた省令「電気設備技術基準」のあいまいな解釈を具体的に明確化したもので、電気工作物の設計、施工、維持及び検査の業務に従事する人が最低限守るべき技術基準なのです。民間規格なので、内線規定の詳細を知るには日本電気協会発行の書籍「内線規定」を入手する必要があります。

労働安全衛生法による特別教育

電気工事士免状の取得後、DIYや趣味の一環として電気工事を行うのは問題ありません。ところが、会社の業務として電気工事を行う場合には労働安全衛生法(第五十九条の三)労働安全衛生規則(第三十六条の四)が適用され、電気取扱業務に関する特別教育が必要になるのです。電気主任技術者免状や電気工事士免状の有無に関係なく特別教育は必要で、事業者が労働者を電気取扱業務に従事させる際は、労働者に対して安全衛生のための教育を行わなければならないと定められています。

低圧の電気取扱業務に従事するときは低圧電気取扱作業特別教育、高圧の場合は高圧電気取扱作業特別教育、特別高圧の場合は特別高圧電気取扱作業特別教育の受講が必要で、低圧配電盤の扉開閉やブレーカー等の開閉器操作ですら労働衛生上では問題となる場合があります。

※特別教育については各都道府県の労働局や労働基準協会、電気保安協会などにお問い合わせください。

いかがでしたか?
今回は、電気工事士に関する法律についてご紹介しました。これで、電気の仕事を行う上での法規制を理解することができます。ぜひ参考にしてくださいね。